ランダー氏投稿2

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本当の自然素材 「土」

サトミ タバタ ランダー



アメリカではここ数年、特に自然素材を使ったナチュラルハウス/ヘルシーハウス建築が急激に注目を浴びて、トレンディーという状態に達していると言わざるを得ません。
自然建築を進める私としては、自然素材がスポットライトを受ける事に対してとても嬉しいわけですが、そんな中で「本当の自然素材ってなぁに?」という疑問も上がってきており、人々を混乱させている事さえあるのが実状です。
本当の自然素材として最も注目されているのは、もちろん土壁(クレイプラスター)、土か
ら作るナチュラルクレイペイント、そして土床です。
土床といえば日本では三和土ですね。こちらでは土床はアースフロアーと呼ばれ、伝統的には雄の牛の血を使って仕上げたなどと言われています。
家の中に土の床?いうと何だかおかしな感じですが、実は土の床はコンクリートやタイルの床とは違ってとっても心地よい床なのです。亜麻仁油を使って仕上げる土床は、ホコリなどを全く出さず、モップをかける事も可能です。

私はワークショップや、またいろいろな州で行われるナチュラルビルディングのイベントを通してその良さを話したり、作り方を紹介したりしています。今までには実際に雇われて、ニューヨーク北部まで土床を作りに飛行機で飛んだ事さえあります。その時は100人以上の人がやって来て、ものめずらしそうに私たちの作業を見ていました。まるで自分が動物園の猿にでもなったかのようで、しばらくは何とも言えない妙な気持ちでしたが、ユニークでかつ土床を紹介するための良い機会となりました。
土床の作り方の基本は、まず土台となる床をしっかり固める事が大切です。それができたら土、プラスターサンド、わらすさ、水をねり、一晩ねかせ、13~15mmの厚みの床を作ります。土を均等に塗り広げたら木鏝を使い、その後はステンレスの鏝で仕上げます。完全に乾いたら亜麻仁油を煮て、その上に数回塗り浸透させます。次に亜麻仁油にテレビン油を25%加えて塗り、そしてさらに25%のテレビン油を加えて二度ほど塗り仕上げます。
そして乾けば出来上がりです。水ぶきもオッケー。白いタオルでふいても土の色はタオルにはつきません。

というわけで、ここ数年前から私は土で床を作るだけじゃなくって、土のテーブルをカスタムで作っています。
土床が欲しいのだけど...と不安そうに相談にやってくる人々には、いつもその土のテーブルの上にお茶やコーヒーを出します。そしてテーブルとなった「土」をその手で触れていただき実際に感じてもらい、少しずつその良さを伝えている今日この頃です。



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土のテーブル
このような土のテーブルが私の言葉を超えて本当の自然素材「土」への理解を深めるシンプルでパワフルな助っ人となっています。
一人でも多くの人々に実際に触れてもらい身近に感じてもらう事が土の良さを知ってもらうはじめの一歩だと信じている私であります。



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私の主人トムランダーと仕上げた土床
朝から晩まで休む間もなくて...気が付いたら外が暗くなっていた。
長〜い1日だったけど、美しく仕上がった土床を見た時は満足感でいっぱいでした。
アイ ラブ アースフロアー!



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土床の作り方を教える教室にて
Q&Aを始め、しっかりその How To を勉強した後は実際にハンズオンで土床づくり。
みんな真剣です。


サトミ タバタ ランダー




■筆者ホームページ紹介
トム ランダー, サトミ タバタ ランダー  Tom Lander / Satomi T. Lander
http://www.landerland.com/Welcome.html

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