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土のワークショップ ニューメキシコ州便り

サトミ タバタ ランダー

2012/07/08

土のワークショップ20120708.jpg
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土のワークショップを始めたら?と何度も友人達から勧められながら...
時が過ぎ去り、教えてみようかと試みたのはちょうど10年前。
それ以来、春から秋にかけて6回ほど、週末に "自然建築の教室" を私の主人トム(ビルダーであり自然建築を促進し続けてる頑固なアメリカ人)と共に行いその3回は自然建築と土壁の教室、そして残りの3回を土の教室として進めています。
土の教室/ワークショップは5〜10人という小さなもので、その週末は楽しく、笑いあり、だけど鏝を持つとみんな真剣になると言った感じです。
アースプラスター、ライムプラスター、アースフロアー(土床)、そしてクレイペイント(土のペンキ)が主な項目で 土、砂、藁などの配合を考えながら混ぜ,壁の塗り方、床の作り方、土のペンキの塗り方などが学べます。

参加者は、建築家,ビルダーを始め、学生、主婦、退職を目の前にする夫婦の方々などで、はっきり言ってビギナーからプロまでです。 レベルなど関係なく、楽しみながら学ぶ事ができる教室です。 
自然素材に興味を持つ人たち、それを使って自分の家を建ててみたいと夢見る人たちってほんとあったかいというか、なじみやすいというか、人間らしいというか...親しみが自然にわき上がり、初めて出会ったような気がしない事もたびたび。 土ってヒトを丸くするというか、そういう人間関係を自然に生み出す不思議なものだとも思います。
「つち」のおかげで私のネットワークもずいぶん広がりましたそして今も広がり続けています。巡り会う人々はすばらしい方たちばかりです。


自宅で行う土の教室/ワークショップの他にはプライベートレッスン、そして実際に施主さんの依頼によりその建築現場にて一緒に壁を塗ったり、土のフェンスやガーデンウォールを作ったりする事もあります。子供たち、おじいちゃん、おばあちゃんを含める家族全員、その上友達や近所の人たちまで集まってみんなで協力しながら進める家づくり、ガーデンウォールづくりも興味深いものです。家族の和、コミュニティーの輪が感じられます。 こういう事って私の世代では新しい事みたいだけど、実に新しい事じゃないんだよね。昔の人はそれが自然にできてたんだと思うとこれもある意味で、土が繰り広げる時代のリバイバルかしらと感じるわけです。

それ以外では、エキセントリックなお客さんからすべて土壁, 土のペンキで仕上げて欲しいとか、市販された材料でなくそのお宅の山の土を使って塗ってほしいとか、フクロウの巣を土で作ってほしいとかなど、クレイジーな仕事もありますが、とにかく土を愛する人に悪い人はいないと実感しています。
自然素材を選択することって単なるマテリアル選びじゃなくって、そこにはその人の生き方、ライフスタイルや生活価値観が見受けられます。
日々、プラスチックなどの人工製品に囲まれた生活をしている私達だけどこの10年間を通して思う事として、土を始めとする自然素材がますます見直されている傾向にあると思います。 だからゆっくりでも良いからそういう建築法を探している人たちにこたえられるような活動をし、情報をシェアしていきたいと思います。 

日本とアメリカでは違う事がたくさんあるけれど、失敗を恐れない子供のような気持ちや、やってみたいなっていう好奇心などは同じです。楽しみながら学んでもらう事も長続きのひとつです。そして「好きこそものの上手慣れ」ということ日本だけじゃなくってここアメリカでも通用します。


過去の10年間はウォームアップのようなもので、11年目を機に「つち」と私のアドベンチャーがもっと多くの人々に自然建築の大切さを理解してもらえるようこれからも努力していきたいと思っています。




■筆者ホームページ紹介
トム ランダー, サトミ タバタ ランダー  Tom Lander / Satomi T. Lander
http://www.landerland.com/Welcome.html

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