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第8回鏝鍛冶と左官の交流会を開催して!

兵庫県篠山市左官技術研究会 会長 藤田勝行



鏝鍛冶と左官の交流会もあしかけ5年目を迎え、第8回目を開催できました。また、三木の鏝鍛冶さんとの交流が始まって、7年目を迎えました。

「鏝の肩は、張っていた方が良いのか?それとも肩がなるい方が良いのか?」と聴かれた事から始まりました。「鏝鍛冶は左官にとってどんな鏝が良くて、どんな仕上げにどの鏝を使うのか?さえ知らないで、鏝作りをしていました」鏝鍛冶の先輩や親方から教えてもらった形状、材質、焼入れ等で作っていたそうです。また、金物問屋さんからの注文に応じて作っていたそうです。

左官も仕上げによって、鏝の材質を替え、鏝の硬度を替える。鉄板や鋼板を貼った鏝と鍛冶で作った鏝の違いはどこにあり、どこに良さと欠点があるのか?を鏝鍛冶さんと左官が交流を深め、お互いが良い製品を作っていこうと始まったものです。左官仕上げが高度な仕上げを追求すれば、鏝もまた、鍛冶物の高度のものが要求されて当然だと思います。お互いが磨かれて良いものができるのだと考えています。

今回、三木の鏝鍛冶さんと金物工業組合との話がすれ違い、鏝鍛冶さんの販売数が減り展示だけという形になり、左官の皆さんには大変ご不自由をおかけしました。アンケートにも鏝の販売がすくなすぎるとご指摘されておりました。今後は左官技研と鏝鍛冶さん、金物工業組合とが話をもって、前向きに建設的意見を出しあって良い方向に導きたいと考えております。

北は東北地方から南は九州、鹿児島まで全国から150名というたくさんの左官、工務店、設計士、建築関係者が集まってくださいました。紙面をおかりして御礼申し上げます。何分、会場にも制限があり室内、屋内、ガレージ下と3会場で実技をしてもらう事となり、条件も違ったと思います。材料不足もあったかもしれません。

今回は、土曜の夜に2時間ほど一室で交流会をして、漆喰磨きはどうしたらうまく磨けるのか?鏝の使い方、鏝の質、磨きのタイミング、材料の吟味などが話し合われました。参加者の中には、左官1年生もいれば熟練技能者もおられ、少しハイレベルな話し合いになり過ぎた点も今後の課題かもしれません。

本来、左官工事、左官仕上げは“タイミング”いわゆる“ひき具合”です。どのタイミングでどの鏝を使って仕上げるのか?何回鏝をかけて磨くのか?ではないでしょうか?それには、何度となく自分でタイミングを見極める事しかないのかもしれません。うまく磨けた時のタイミング!失敗したタイミング!を検証すべきなのかもしれません。露抜きをどのくらいの時間すれば良いのかも必要ですし、また、磨いた壁が風雨によってどう変化するのかも確かめる必要があると思います。ゆえに、屋外や軒下に磨いたパネルを出しておくのも一つの手だと思います。


漆喰黒磨き 調合
篠山講習会

<砂漆喰>(4㎡分4回塗り)
水 600cc
大杉土(30#) 1kg
石灰(30#) 1kg
硅砂6号 500g
冨士すさ(ナタ切り) 30g
城かべ用つのまた 100~120g
又は、むしろふのり(30#) 3~3.5リットル
(水4リットル、むしろふのり200gを40~45分煮て、三厘で篩う。)

<中漆喰>(5~6㎡分2回塗り)
水 2リットル
大杉土(30#) 2kg
石灰(30#) 2kg
冨士すさ(ナタ切り) 80g
城かべ用つのまた 60~70g(壁の大きさ、季節による)
又は、むしろふのり(30#) 1~1.2リットル

<紙すさ黒漆喰>(0.2㎡分1回塗り)
水 30cc
石灰(60#) 20g
油煙 4g
水 30cc
油煙 4g
むしろふのり(木綿) 20~30cc
(水2リットル、むしろふのり100gを前もって半日水浸ししておく。10~15分強火、30~40分弱火、3厘篩う、30#篩う、木綿濾す。出来上がり1.2リットル)

<黒ノロ>(0.4㎡分1回塗り)
水 30cc
石灰(60#) 20g
油煙 4g
水 30cc
油煙 4g
むしろふのり(木綿) 20~30cc

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