植田氏投稿1

左官的塾 web

塗り壁の文化を伝える

| HOME | 投稿一覧 | 植田氏投稿1 |

鏝 植田仕様が出来るまで

2012.6.6記 植田俊彦                                   



1.はじめに

僕が手がけている漆喰仕事で使う鏝を探していました。
何人で塗っても同じ厚みを塗れる鏝を作ろうと思い、ある時、某鏝のシゴキ専用角鏝を改良することから始まり、出来上がった物を㈱カネシカさんに持ち込みました。

そこからの始まりで約2年掛け出来たのが植田モデル使用です。

まずはSK鋼を使用してカネシカさんが生み出した最新技術でレーザースリットの背金(せがね)、鏝尻にバチ型を加え、全体の鏝幅、何回か繰り返し試作しました。また、厚みのある漆喰に対し、弾力を兼ね備えた鏝が出来上がり、現在の薄塗りに対する下地から仕上げまで、この鏝一つで出来る鏝を作りました。 左官にとって、塗りつける、シゴキ、押える、撫でると云う理想の、本焼き鏝が誕生しました。



2.㈱カネシカさんと僕の共同開発の特徴

まずは、手にとって見てもらえる形  
     かっこ良さ

     使って見て判ること
     しなり、腰の強さ、撫でるやわらかさ

     鏝の柄の形 
     握りやすさ、馴染む、疲れない
     バランス、一人ひとり違う塩首の高さ

     価格の定価
     いかに良い物を安く出来るか
     使って見てリピートがどれだけ増えるか

大きな壁を塗るとき何人もの職人さんとの協力作業になった時、一定の厚みが確保できるように材料や鏝の大きさにもこだわりました。

その後も何度も試行錯誤の末に完成となりました。



3.鏝の扱い方

「下地から上塗りまで一つの鏝で仕上げる」をテーマにしました。

まず、材料も工夫が必要ですが、鏝にあった材料の柔らかさを常に確保する。少しでも硬いと厚みが変わってきますし、材料作りも工夫をしてもらいます。

初めてこの鏝を使う人でも、塗り厚を一定にするようにと思い考えてきました。使い方は鏝の角度を60度ぐらいに傾けて材料を並べるように置いてゆく感じで塗りつけていきます。

余計な力が入ったり、鏝を寝かして押えがちに塗ると、塩首あたりに凹みが出来ます。ので材料によって強弱をつけて凹まないように感じながら使って見て下さい。

まず新品で使って見て下さい、何回か使った後、鏝の裏を見れば綺麗な曲線が出ていればOKです。ニスが取れて使った形が現れてきます。

詳しくは上部で述べていますので参考にして下さい。
たったこれだけの注意で鏝の全ての使い方がきっと判る筈です。

この鏝を使うことにより、押える強弱、撫でる力加減も同時に考えて、使い分けが出来れば、さらに鍛造の「地金・本焼き・油焼き」と鋼材料の質によって、どの鏝を使えば良いのかが自然と判ってくる筈です。

こんなふうに、鏝の質を感じながら使って見て下さい。




植田俊彦さんのプロフィール
※15歳から左官修行を始め22歳で久住 章氏と出会い、左官の魅力を再発見。その無限の可能性を追い求めながら多くの経験を積みながら今日に至る。数々の勉強会を主催したりと後継者育成にも尽力している。現在「左官を考える会」主宰。淡路島出身。

※植田俊彦さんへの問い合わせ
総合建築 植田
〒656-2131 兵庫県淡路市志筑1462-7
TEL 0799-62-3184  FAX 0799-62-7184
携帯電話 090-8758-8213

※なお、会社名記入ネット検索で植田さんの活動がご覧いただけます。(編集部より)

植田01.jpg




4.参考資料
「HP職人魂」さまのサイトからの引用です。植田モデルの細部の特徴が記してあります。
※「職人魂」植田モデル 現代風糊土用なで鏝
掲載のページ


①磨き面取り仕上:背金(せがね)部分の細部までしっかりと磨き面取りを行った。これによりヨゴレがつき難く、更に手入も楽になった。
植田02.jpg


②「職人仕上シリーズ」の特徴がこのレーザースリット構造。サイズによって3種類の加工が施される。これまでの工法とは異なり、コストを抑えながらも「しなり」「耐久性」を損なわないのが特徴。
植田03.jpg


③背金をバチ型に成形し、鏝の後方隅々まで圧力が伝わるよう施された特殊工法。ラインも直線ではなく、良く見て頂くと軽いカーブが(写真=赤点線)で裁断されているのが見える。
植田04.jpg


④今や「職人仕上シリーズ」の顔となった角柄。慣れると扱い易い。高級感も漂う。
植田05.jpg

投稿一覧へ戻るLinkIcon