平成会第21回総会

左官的塾 web

塗り壁の文化を伝える

| HOME | 投稿一覧 | 平成会第21回総会 |

東京都左官職組合連合会青年部 平成会 第21回定期総会

東京都左官職組合連合会青年部 平成会 山口 明



東京都左官職組合連合会青年部 平成会の第21回定期総会が7月3日に、平成会が土壁を施工した大手町「然」で開催されました。会長は昨年度から阿島一浩日本左官組合連合青年部長から引き継いだ原田宗亮さんです。議案が討議・承認されました。総会来賓の挨拶は武藤東京都左官職組合連合会会長で、久住章さんや挾土秀平さんを顧問に迎え、益々活発な活動をしてほしい旨のメッセージがありました。

総会後に普段から平成会と付き合いのある早稲田大学輿石直幸研究室及び曽田五月也研究室の論文(以下要約)がそれぞれ亀森淳也氏及び山田宮土理氏により講演されました。




荒木田土を用いた伝統土壁構造の耐震性能に関する研究
その1 静的試験結果と動的試験結果の比較検討
その2 地震応答計算用解析モデルの構築とその精度検証
講演:早稲田大学 曽田五月也研究室 亀森淳也氏


土壁の力学性能は、それを利用する地域に伝わる構法により大きく異なり、さらには高い強度、変形能力を有するものも決して少なくはないと言われている。しかし、土壁の動的な力学性能に関する研究実績は少なく、今後予想される大地震に対して土壁の動的な性能を把握することは重要な課題である。本論では、静的な加力と動的な加力による土壁の力学性能・破壊性状の比較、及び壁土の種類による力学性能の比較を目的として、荒木田土を用いた実大試験体による強制載荷試験を行い、既往の研究と併せてその力学性能の定量的評価を行った。

さらに、土壁の地震応答時の動的特性の評価を目的とし、初めに慣性力載荷装置を用いた実大試験を行った。次に、静的・動的載荷試験により得られた荷重変形関係をもとに解析モデルを構築し、慣性力載荷試験の評価を行い、土壁のより適切な評価方法について検討する。




主要産出地における荒壁土および中塗土の性質
小舞土壁に用いる壁土に関する研究
講演:早稲田大学 輿石直幸研究室 山田宮土理氏


本研究は、小舞土壁構法が現行の建築生産システムの下で、無理なく戸建住宅等へ広く採用されることを可能とする基盤を構築し、必要な品質・性能の確保、生産性の向上を目的とするものである。画一的な材料・工法の標準化を目指すものではなく、各地で入手可能な壁土原土の特質と塗付け箇所の条件(壁上の厚さ、工程数など)に基づき、材料の下ごしらえから調合・試験練りに至るプロセスを合理化・適正化しようとするものである。

この目的に対し、本研究では下記の項目について研究を行う。
(1)壁上の品質に関する試験方法・条件の検討
(2)水合せ効果の検証
(3)壁上の材料特性と土壁の性能との関係の究明
(4)塗付け各層の役割および隣接する層間の相互作用の解明
(5)塗付け各層の調合手法の考案

上記の研究項目のうち、本論文では、主に(1)の検証実験を行うとともに、(2)~(5)の詳細実験を行うための準備段階として、主要な産出地における標準的な仕様の荒壁土および中塗土について、壁土の性質と調合の実態把握を行い、今後の実験計画を立案するための基礎データを収集した。


投稿一覧へ戻るLinkIcon