吉川氏投稿1

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淡路島・久住章さんのゲストハウス

文章/写真:吉川 司(左官)



日本を代表する左官職人の久住章さんが早稲田大学の建築科の学生に「金を出すから、俺の建物を作ってくれ」と頼んで作らせたそうです。つまり学生達がセルフビルドで立ち上げた建物です。最近ゲストハウスを多く作っている、建築時にはまだ大学院生だった「南の島工房」の建築家・日置拓人さんも設計・施工で携わっています。このゲストハウスは、住宅作品を通して建築設計の新たな展開に大きな可能性を感じさせる新人の奨励のために、その作品の設計者を表彰する新建築社の「吉岡賞」(現在「新建築賞」)を'99年に受賞しています。

しかし、2009年12月25日ごろに壊されることとなり、その前に見学に行ってきました。
いつでも行けるという思いで今までいました。宿泊、風呂、バーベキュー等楽しくすごせる時間を作ればよかったと後悔しています。まぁ~仕方ないですね。壊される前に、見学できたのでよかったです。後は、ゲストハウスの建築を、久住さんといっしょに作業できれば、よかったかな~と思います。さびしいですね。凄い面白いゲストハウス、もったいないですね。 “わくわくするような空間”という意味でも、残して欲しい気がしますが、形はなくなっても心の中には残していきます。

当初は数年の寿命と考えられていたそうですが、建てられてから既に20年弱。そんなに経つのに、意外と丈夫で、壁の色も変わってきているのに、それがまたいい味を出していました。
たくさんの木で支えられているような形で、円筒の上の壁に斜めに窓が切り取られている建物及びロールケーキ状の不可思議な建物が淡路島・久住章さんのゲストハウスです。

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たくさんの木で支えられているゲストハウス。


最初に見えた建物は、細い木を規則正しく組み土壁で仕上げた建物で、足場丸太を番線で結束して作った空間が特徴でした。天井も高くトタンの屋根なので自然光が入り、開放感がありました。

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木と竹で組み上げられたゲストハウスの中。
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ぐるりと囲む通路を、足場丸太の柱が支えている。


もう一つのロールケーキ状の建物は宿泊棟で、こちらも足場丸太を構造に使っていますが、それがトンネル状に連なっている空間が特色です。モルタルに貝殻を混ぜて固め、砥石で研ぎ出した螺鈿のようなテーブルや、割れたガラスの上に溶けたアクリルを流し込んで作ったキッチンなど、細かな工夫が詰め込まれた楽しい建物でした。お風呂やトイレ、ベッドなども完備していました。

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これが宿泊棟の外観。すりガラス越しに外光が入ってくる。
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宿泊棟にあるベッド、キッチン、お風呂。

キッチンには磨きで仕上げたテーブルも見える。またお風呂は洗い出し仕上げとなっている。

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