関氏連載6

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伊豆長八からの手紙(第6回)  鏝絵の原点は

伊豆長八作品保存会 関 賢助



過日、7月14日から22日まで、松崎町内のギャラリーで、現代鏝絵の名工『山本勘一』氏の鏝絵展が開催されました。

山本氏は伊豆の長八美術館が出来る前から制作活動を始められ、鏝絵に留まらず漆喰像から木彫まで、数多くの作品を発表されて来ました。また山本氏は鏝絵教室をも開講し、現在町内で鏝絵制作に関わりある方の半数は、何らかの形で山本氏のお世話になっていると言われております。
ご家族の奥さんや、毎年の『全国漆喰鏝絵コンクール』に出品して上位入賞の常連となっている、娘の鈴木やよいさんの作品も合わせて展示されております。

展示作品の内容は、風景画、美人画、仏画と多岐にわたっております。山本氏の長年にわたる左官職人としての堅実な技に支えられた鮮やかな色彩の鏝絵作品は、鏝絵に関わりのある方々には掛替えの無い貴重な作品として注目され続けて、今後も欠くことの出来ないお手本であり続けると思われます。
最近の山本氏は体調不順とのことで外出もされず、ご自宅でその日の状態を見ながら鏝絵制作されているとのことですが、以前と同じように教えを請いに訪ねて来る人が絶えないとのことです。

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また松崎町の秋恒例の長八祭りに合わせて毎年開催されております、『全国漆喰鏝絵コンクール』の審査員も今年度からは辞退されることになりました。その後任に指名されたのは私ですが、大役が果たして務まるのか責任の重大さに緊張しております。
第9回となります、『全国漆喰鏝絵コンクール』の今年度の作品搬入期限は8月29日までとなっております。審査会は9月9日に開かれ、入選作品は9月21日から10月31日まで、『伊豆の長八美術館』特別展示室において公開展示されます。今年度はどのような作品が出品されるのか、昨年の鏝の技を集積された話題作を超える作品が登場するのか、期待されています。
表彰式は例年と同じように、松崎町では秋の最大イベントである『長八祭り』で行われるでしょうが、その頃には松崎蔵造り隊が目指している土蔵海鼠壁の新築現場で木工部分の上棟式が予定されております。

竹木舞かき、荒壁塗りは10月になる予定ですが、今回の現場では近くに土を練る場所がありません。そこで国道を渡り、長八美術館の駐車場を横切った伊豆分邸の裏庭に、しばらく土捏ね場を設置して、土を搬入し土を練り置くことになりました。この作業に加わった方には遠路はるばる都内から駆けつけて下さった方がおります。また地元女子高校生も汚れるのも厭わずに、泥土の中に飛び込んで、「初めての体験です!!」と目を輝かせています。

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