遠野氏連載4

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森と風のがっこう その2

遠野未来


森風エコキャビン 第一案

今年、自然素材による改装プロジェクトが行われる「森と風のがっこう エコキャビン」の第一案が出来た。
5/10,11に模型を携え、がっこうスタッフ、工務店との打合せに現地に行ってきた。
当事務所でスタッフと茅葺も含め何案かスタディを重ね、今回提出したのは既存建物部分から曲面の部屋と温室が突き出た案。


1.屋根の形・勾配を今のまま生かして両隣の既存校舎とカフェとの調和を取り、3つの建物の結節点となる部分に円形の壁を作ることで、場に動きと求心性・・・・その両方をつくる。
2.入口部分の横には、森風のシンボルとして「森と風」をイメージした木のルーバー。そこは内部のボイラーの薪をくべる作業スペースになる。
3.北と西には隣の小川から水をひいた水路と池。
4.隣のカフェが装飾的な表情なのに対し、シャープな印象になるように斜めにゆがんだ窓を・・・。
5.屋根は草屋根。煙突が建物のシンボルとなり、そこから中のハシゴを使って夏は草屋根の上に出れる。
6.南西側はガラスのウインターガーデン(温室)となっており、冬の暖とお茶などが飲める安らぎの場に。
7.断熱材は既製品を使わず、屋根と壁の断熱材は、地元の葦と土を組み合わせた自然断熱を検討中。
8.宿泊室と共に、メインとなる薪ストーブを囲んだ10畳ほどのフリースぺースは、塗り壁によるやわらかな曲線で出来た空間。そこではヨガなどのワークショップも行われる予定。火を囲んだ塗り壁による柔らかな場に。


等が主なポイントである。
いくつか模型写真をご覧いただけると幸いである。弧(R)を描く壁側から見ると宇宙船のような雰囲気も・・・
(写真をクリックすると少し大きくなります)

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代表の吉成さんは、私がつくるからには「周囲と全く違うフォルムが出てくるのでは・・・」とも想像していたようで、周囲に調和した案にやや意外だったよう。だが、「全く違うかたちの屋根もこんな感じで出来ます・・・」と別のスケッチを示すと「ああ、やっぱりこっちのほうがいい」と納得してくださった様子。
他のスタッフの方々にも円形の壁は新鮮に感じられたようで、なかなか好評で、正直ほっとした。その後内部の使い勝手と、構造的検討の打ち合わせをし、トンボ帰りで帰京。

最初のイメージはOKとして、後は、見積もりが合うか次の段階。出来るだけ地元の自然素材を使うよう検討中。一番の課題は、無筋コンクリートの基礎のやり変えと雪対策で屋根をどうかけるかとその勾配、そしてコスト・・・。それによって全くかたちが変わるかもしれないが、5/31のワークショップに向け、急ピッチで案のまとめと、見積もりを進めているところ。
ご興味ある方は、5,6,8月と三度行われるワークショップにも是非ご参加いただきたい。
このプロジェクトが、これから自然住宅を造りたい方々のご参考になればうれしく思う。

※ワークショップの詳細はイベントナビのページをご覧ください。

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