住宅瑕疵担保履行法

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●新築住宅で売主や請負人が資力確保を義務付けられることに

平成21年10月施行
『住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)』


建築士が構造計算を偽装した構造計算偽装問題(いわゆる姉歯事件/耐震偽装問題)を受け、国土交通省は、平成18年に建築基準法を改正し、建築確認事務を厳格化しましたが、その影響で一時的に住宅着工件数が大幅に減少するといった現象がみられました。本年度には、『住宅瑕疵担保責任(じゅうたくかしたんぽせきにん)の履行(りこう)の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)』が施工されるため、瑕疵担保保険の駆け込み加入が集中すると、同様の混乱が発生することが予想されます。このため『住宅瑕疵担保履行法』の内容を充分に理解するために、そのポイントを下記の通り取りまとめました。関係する建築業者の方々は早急に資力確保の手続きを取られるよう推奨します。

なお、左官にとっては、『住宅瑕疵担保履行法』に定める問題に加え、壁面のクラック、浮き、汚れ等の不具合や意匠、出来栄え、美観等の感覚的な紛争が発生する可能性が高く、斡旋(あっせん)・調停・仲介を保険等で対応できるよう準備しておくことも必要です。詳しくは、最後の「左官業等の被請負業者にも責任が発生」の項にまとめましたので、ぜひ読んでください。


法律の流れと内容

平成12年4月に施行された「住宅品質確保法」で、新築住宅の請負人や売主に対し、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入する部分について、10年間の瑕疵担保責任が義務付けられました。

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平成17年に明らかになった姉歯事件では、請負人や売主が倒産した場合、その修理・補強が履行されずに、その修理・補強に対して買主が不安定な状況に置かれました。平成21年10月に施行される『住宅瑕疵担保履行法』では、新築住宅の請負人や売主が責任を果たすために、きちんとした資力を確保することが義務化されます。

●適用:平成21年10月1日以降に引き渡す『新築住宅』
注1 適用年月日について工事の遅延や売れ残りで引き渡す場合も含まれる
注2 『新築』とは工事完成後おおむね1ヵ年以内に買主に引き渡される建物
注3 『住宅』とは人が住まない事務所、倉庫等を除く建物

●資力確保:『保険への加入』または『保証金の供託』
供託金は欠陥が見つかった場合、請負人や売主はその補修・補強に供託金は利用できないので別個に全額負担する。請負人や売主が倒産した時に買主のみに利用可能である。したがって掛け捨てではあるが、保険を利用する方に総括的なメリットがある。

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注 保険会社
(株)住宅あんしん保証 03-3516-6333 http://www.j-anshin.co.jp/
(財)住宅保証機構 03-3584-6631 http://www.how.or.jp/
(株)日本住宅保証検査機構 03-3635-3655 http://www.jio-kensa.co.jp/
(株)ハウスジーメン 03-5408-8486 http://www.house-gmen.com/
ハウスプラス住宅保証(株) 03-5777-1835 http://www.houseplus.co.jp

●対象:所有者となる買主または発注者に新築住宅を引き渡す『建築業者』や『宅建業者』
注1 建築工事又は大工工事の許可を受けた建築業者が基本であるが、それ以外建築業者が新築工事の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分を施工する場合も対象
注2 JV及び分離発注の場合はJV及び分離発注間で事務幹事会社の選定等を行なう必要

●紛争が発生した場合
「住宅品質確保法」に基づき各都道府県にある弁護士会にある住宅紛争審議会が斡旋・調停・仲介を行なう。更に紛争処理を円滑に進めるため、「住宅品質確保法」に基づく住宅紛争支援センターが相談・助言及び支援・助成を行なう。『住宅瑕疵担保履行法』に基づく保険法人はこの住宅紛争支援センターに対し負担金を支払う。

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左官業等の被請負業者にも責任が発生

左官業等の被請負業者は『住宅瑕疵担保履行法』に定められた建築業者ではありません。しかし、外壁、開口部、外部などから雨水の浸入の危険があるバルコニー等の工事に係わるため、住宅瑕疵責任が発生します(上の「●対象:」の注1を参照)。したがってこの場合、左官業等の被請負業者が補修・補強のほか、調査、仮住居、移転等にかかる大きな費用を全額負担することとなります。
これに備えた対処方法としては次のことが考えられます。

●上記の国土交通省が認可した保険会社と協議し、保険に加入する。(全額保険料負担)
●元請業者が『住宅瑕疵担保履行法』に定められた建築業者であれば、元請業者が加入する保険料の分担を協議し、工事契約書に定め保険が利用できるようにする。(一部保険料負担)なお元請業者が供託をする場合で資金力がない場合は、上記の保険でカバーできるよう検討する。

基本的に、以前から行なわれてきた慣(なら)わしや金銭的な曖昧(あいまい)さを残すのではなく、工事契約に明確な住宅瑕疵の条項を定め、住宅瑕疵に対する補償方法を元請業者・被請負業者間で明確にする必要があります。この場合、下地などの他の業者の問題である可能性がある、もしくは施工ミスがはっきりと特定できない時を念頭に入れておく必要があります。いずれにせよ、最終工程を請け負った業者が瑕疵補償をするとか、より弱い業者が金銭負担をすることは厳に排除するべきです。



詳しくは下記のページをご覧ください。
国土交通省 「住宅瑕疵担保履行法」について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/ kashitanpocorner/index.html

国土交通省 法律の概要と関係法令について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/1-aboutlow.htm

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