榎本氏連載2

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左官屋へのエール:運命の転回を図れ!

榎本新吉



今から榎本さんが言う言葉、聞いてみなって。これはな、今で言う中学ん時に学校で教わったんだけど、いまだに覚えてんだ。ソラで言えるんだぞ。ほらっ!


*( )内は編集室による意訳
元気旺盛にして進取の気象に富み、目的の存する所、必ず実行の計画あり。
(元気いっぱいで自分から進んで事をなす気質にあふれ、目的があれば必ず実行するための方法や手順を考える。)

思慮周密にして決断力に富み、計画一度定まれば、直ちにこれに着手し、勇往邁進、成功を見ざれば止まず。
(注意深く考え思い、細かい点まで心づかい、決断力に満ち、計画が一度決まればすぐに実行に移し、勇ましくまっしぐらに進み、成功するまで止まらない。)

活動をもって無上の楽しみとし、安逸をもって最大の苦痛とす。独り自ら活動するのみならず、またよく人を活動せしむ。
(働き行動することをこれ以上ない楽しみとして、なにもしないで遊び暮らすことを最も苦痛なこととする。一人で自分から働き行動するだけでなく、人が働き行動するよう支える。)

自信の念篤く、自立自営、他を羨まず、他に依頼せず。
(おおいに自信をもって、自立・独立し、人をうらやまず、人にたよらない。)

前途に希望を有して、人生を悲観せず。不幸に遭遇するも落胆することなく、必ず新進路を求めて、運命の転回を図る。
(前途に希望を持って、人生を悲観しない。不幸な目にあってもがっかりせず、必ず新しい進む道を求めて、運命をいい方向にくるりと変える。)

遠大の志望を抱きて、よく艱苦と戦い、終局の勝利を期待して、自彊やむことなし。
(大きな志と希望を持って、困難やつらく苦しいことと戦い、最後には勝つことを期待して、頑張ってはげみ続ける。)

虚名を卑しみ、実功を貴びて、華を去り、実に就く。
(実質以上の名声や評判を見下げて、実際に成し遂げることを大切にし、うわべだけの華々しいことを遠ざけ、実のあることに力を注ぐ。)

義務の観念強く、職責を重んじて、忠実業に服す。
(義務感を強くし、自分のつとめの責任を大事なこととして、忠実に仕事をする。)

己を持すること謹厳、公徳を重んじ、規律を尊び、高雅善美なる嗜好を有す。
(つつしみ深く、いいかげんにしないで、道徳心をもって秩序を尊び、気高く品良く美しいものをたしなんで、好む。)

気宇闊大にして、人を容るるの量あり。よく他国民と親和し、またよくこれを同化す。
(気がまえは大きく広く、人を受け入れる器量がある。他の国の人と親しんで仲良くし、よくとけ込むようにする。)

公平無私、よく事物の長短を識別し、我が短を捨つるに吝かならず、他の長を採るに敏なり。
(自分の感情をまじえずに公平な心を持ち、ものごとの長所と短所をよく見て、自分の短所を捨てるようにし、人の長所を見つけることがうまい。)

協同一致の精神に富み、団結の力強く、公益のためには私情を去り、私利をなげうつ。
(ともに心と力を合わせて努力する心を持って、強く団結して、人々の役に立つように個人的な感情を捨て、自分のための利益はなげ捨てて気にしない。)

行住坐臥、国家を思い、事を処する、必ず至誠奉公の精神に基づく。
(ふだんから国家を思い、事に対処する。必ずこのうえなく誠実に社会に尽くす精神を基礎とする。)」


ってな?! わかるかな~。この言葉を左官屋におくりたいんだ。元気いっぱいでまっしぐらに突き進めって! つらい時でも、希望を持って、自分で転回せよ、運命を変えろって! 目の前にあるものにまどわされたりしないで、実をとれ! 金もうけするんじゃなくって、自分で一つのことをつきつめるんだよ! 人をうらやんだりねたんだりしないで、自分で道を切りひらけ! それからな、仲間をつくんなきゃ。そうすれば最後は勝つんだぞ!! 自分をふるい起こさなきゃ。自分の人生に勝たなきゃ。負けるんじゃないぞって! あっはっはっ!


enomoto080804.jpg20代の頃の榎本さん

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